韓国視察訪問記 Part.2
2日目:視察場所とポイント
③ソウル東部圏ワーキングマザー支援センター 見学・説明
働きながら子育てをする女性のキャリア継続支援や、キャリアを断絶された方への支援を実施する相談機関です。2012年に設立。2019年に東部圏・南部圏・西北圏の3つの圏域センターに拡張しました。
相談内容・相談者の声を分析し、政策と制度の改善を図り政策提言を行っています。
ソウル市費にて運営、事務型民間委託機関です。
・ソウル市が運営しているので、区との連携・関係性が難しいところがある。
地域連携強化のために、センターの認知度向上のための啓発活動を行っている。
※Youtubeチャンネルあり
・制度や政策が整っていない中小企業で働く女性からの相談が多い。
・ワーキングダディ(働くパパ)からの相談も増えている。オンオフライン活用映像教育、企画講座、ワーキングダディ&マムの実態及び要求調査等、多様なコンテンツを強化している。
横浜では同様の役割を果たす施設として横浜市男女共同参画センター(市内3館)が行っている「女性としごと 応援デスク (フォーラム)」があります。

③ソウル東南高齢者ケア従事者支援センター見学・説明及びダブルケアの両国事例発表

ソウル東南高齢者ケア従事者支援センターは、療養保護士などのケア従事者を支援するためのセンターです。2008年に療養保険制度ができ、この制度に置いて直接介護サービスを提供するための国家資格が療養保護士です。療養保護士になるためには実習が少なく、人件費も低いことからその質に問題があったり、利用者の多様な状態に適切に対応できないケースが生じ、身体的・精神的な負担も大きくなっていました。これらの課題を受けて、ケア従事者を支援するセンターが設立されました。最初はソウルの1か所のみでしたが、徐々に拡大し、2019年の法制定により現在では全国に18か所設置されています。
センターの目的は、ケア従事者がより良い職場環境で働くことで、結果的に高齢者にも質の高いケアを提供できるようにすることです。当初は療養士のみを対象としていましたが、現在では長期療養施設に関わるすべての職種が対象になっています。センターのミッションは「ケア労働が尊重される社会の実現」であり、ビジョンとして「お互いを尊重し合い、よいケア文化を創造すること」を掲げています。
センターには休憩室、プログラム室、会議室などがあり、2025年9月末までに延べ4,798人が利用しています。利用者・従事者ともに女性が多く、療養士の新規参入は減少傾向にあります。利用者の年齢層は以前は40〜50代が中心でしたが、現在では50〜60代が中心となっています。職種別では療養保護士の利用が最も多く、次いで社会福祉士が多いです。
この日は、療養保護士のみなさんにもご参加いただき、韓国(ソン・ダヨン先生)と日本(東)よりダブルケア状況についての講義を行いました。

韓国側の事例発表として、イ・ウンジュ(이운주)さんのお話を聞く機会も設けてもらいました。イ・ウンジュさんは以前、朝日新聞からインタビュー受け、韓国の高齢化について話をしています。(記事はコチラ)