韓国視察訪問記 Part.1
2024年10月31日(木)~11月2日(土)、日本チームメンバーのうち13名で韓国へ行ってきました。
イギリス在住の山下先生も参加です。(山下先生は直接韓国入りしたのでこの後合流)
これまでお互いにZOOMの画面上でしか顔を合わせたことがないメンバーが対面での集合です。3日間話が尽きませんでした。
視察スケジュール
10月31日(木)
①仁川女性会(研修支部)地域共同体「延寿区村空間」見学・説明
②仁川市庁を訪問。仁川市の児童及び高齢者ケアの現況説明
参加者:仁川市議会文化福祉委員会、仁川市庁女性家族局
事例:富平区地域社会総合洞春事業
11月1日(金)
③ソウル東部圏ワーキングマザー支援センター 見学・説明
④ソウル東南高齢者ケア従事者支援センター 見学・説明
及び、日本韓国それぞれダブルケア事例の発表・議論
11月2日(土)
⑤姶興(シフン)市共同育児分かち合いの場訪問・説明
⑥姶興市家族センター訪問・説明
日韓両国の参加者全体座談会
1日目:視察場所とポイント
①仁川女性会(研修支部)地域共同体「延寿区村空間」
多世代が交流し、多様な目的をもつ団体が共存している共有空間です。この共有空間での活動は政府からの財政支援を受けず、完全に独立した運営を行っています。資金調達は主に会員の会費やイベント収益、寄付金です。過去に賃貸契約や賃料の値上げなどの問題で14年間で11回も引っ越しをし活動が妨げられる状態が続きました。そのため、2018年から資金調達を開始して、寄付金やローンを使ってこの建物を建設しました。建物の所有権を持つことで経済的な安定だけでなく、政治的・価値観的なトラブルからも解放されました。またこのプロセスは地域住民の結束を強化し、活動の継続性を高める重要な転機になりました。
地下1階は図書館があり地域住民が自由に本を読むことができます。1階はカフェ・ゼロウエイストショップがあり環境意識を高める取り組みが行われています。2階には共有キッチンや事務所があり共同体活動や日常生活を支える場となっています。3階は主に移住者の子どもたちが安全に遊び学べるスペース「地域児童センター」を提供。現在32人の子どもたちがケアを受けています。さらに屋上では小規模な家庭菜園を展開しています。これらの活動は地域住民の生活の質を向上させるとともに、持続可能な社会の実現に寄与しています。
視察のはじめに仁川女性会副会長アン・ミソクさんより「위를 봐요!」(上を見て!)という絵本の読み語りがありました。交通事故で足を失い車椅子で生活をしている主人公のスジのお話です。マンションの部屋から下の道路を覗き込むとたくさんの人が行き来しているのが見えるのですが誰もスジに気付きません。「私はここにいます!」と呼び掛けたところ、ひとりの少年が気付きました。「下に降りてくればいいじゃん」と言います。スジが「足が痛くて降りれない」と答えると…。「ケア」について考えさせられる内容でした。ぜひ機会があったら読んでみてください。
②仁川市庁を訪問
仁川市庁にて、関係者に集まっていただき、韓国と日本のダブルケア支援の状況について発表しました。(発表者:韓国・ソンダヨン先生、日本・相馬直子先生)そして、仁川市の児童・高齢者・地域ケア等の政策について仁川市女性局長から現況を説明してもらいました。ダブルケア問題の取り組みに関しては仁川市ではまだ調査や政策策定が十分に進んでいない現状があり、今回の議論を通じて、その重要性が再認識されました。